No.206 カリフラワーとアンチョビ
今、八百屋の店先には旬のカリフラワーが並んでいる。見るからに瑞々しく、乳白色のつぶつぶした蕾が輝くように美しい。旬だけあって、大きな房でも求めやすい価格。丸ごと買って、何種類かの料理で楽しめる。
小学生の頃、給食にホワイトシチューが有って、好き嫌いが多かった私の数少ない好きなメニューだった。そのシチューにはカリフラワーが入っていた。それが私のカリフラワーの最初のイメージで、未だにホワイトシチューにはカリフラワーを入れたくなる。
カリフラワーは、シンプルに塩茹でしてサラダでも美味しいけれど、沢山ある時はインド料理のサブジにしたり、ピクルスを作ったりする。グリルも美味しい。塩胡椒でさっぱり仕上げる事もあるけれど、今日は塩胡椒の代わりにガーリックとアンチョビを使って、とても簡単でワインにぴったりな一品にした。
カリフラワーは軽く下茹でしておく。オリーブオイルで細かく刻んだにんにくをゆっくり炒め、色がつき始める前に細かくしたアンチョビを加えて炒め、そこにカリフラワーを加える。アンチョビは塩味も旨味も強いので、これだけで味が決まる。カリフラワーでなくてもブロッコリーでも、ほうれん草で作っても美味しい。洋風の野菜料理を一品加えたい時にお勧めの料理だ。
カリフラワーを盛った小鉢は、以前私の姉がスペインのアンダルシア地方を訪れた時に、お土産に買って来てくれた物。古い器ではなく、日常に使うようにその頃、その土地で作られていた物だ。貰って以来、気に入ってずっと使っている。外側は赤土の素焼きのままで、見込みにだけ釉薬が掛かって模様が描かれている。厚く掛かったこの白い釉薬は、スペインの焼き物には多いのかもしれない。私が昔旅行で訪れた時に買った陶器にも厚く白い釉薬が掛かっている。
外側の素焼きの素朴さと、見込みの黒を使った大らかな絵柄のコントラストが鮮やかで、何となくアフリカのデザインを彷彿とさせ、アフリカ大陸との距離の近さも感じる。
器 スペイン小鉢 径13,5cm 高5,5cm
作 不明