No.302 栗 三種

秋の味覚が店頭を賑わしている。秋刀魚や松茸、そして栗。毎年シーズンに一度は皮を剥いて栗ご飯を作る。皮を剥くのがひと苦労だから、と今年は後回しになっている。でも終わってしまう前に、と最近は出掛けるたびに店頭で美味しそうな栗を探していた。
百貨店で栗をテーマにした催事がある事を知り、出掛けたら美味しそうな栗の御菓子が並んでいる。いくつか盛り合わせても素敵かしらと考えていたら、ネットの袋に詰められた生栗が目に付いた。どうやら生栗も売っているらしい。大きくて艶のある生栗と御菓子列に釣られて長い列に並んだ。
買い求めた小振りな栗きんとんは、栗の味がそのまま。口に入れると栗の風味と優しい甘さが広がる。少し前に買っていた四角く小さなモンブランは裏漉しした栗を固めて、上に栗のペーストを素麺状に細く絞って飾っている。小さいけれど栗の旨みが詰まったお菓子だ。家にあった渋皮煮も加えることにした。
盛り合わせるので、見込みの広い菓子皿をと思って、赤楽の菊の皿を選んだ。第11代 楽 吉左衛門 ( 慶入 1817〜1902) のもの。慶入は、幼い頃から先代の 旦入 に養われ、11歳の時楽家の養子となり、1845年に家督を継いだ。1854年、御所の炎上により類焼し1857年、40歳で楽家を現在の場所に新しく築いた。
大らかに広がる見込みから縁に向かって緩く立ち上がる。その先には菊の花弁が輪花を縁取る。楽の柔らかい土味が温かみと優しさを醸し出す。このひと皿に、栗の美味しい工夫が詰まっている。長く人々に愛でられて来た秋の恵みで、美味しく食べるために積み重ねて来た工夫だ。自然の恵みと日本の受け継がれる文化、なんて少し高尚な事を思いながら、ゆっくり楽しんだ。

器 赤 菊皿 五 径16cm 高3,8cm
作 第11代 楽 吉左衛門 (慶入)















