No.201 糠漬け
糠床を作って3年半が過ぎた。母が漬物嫌いだったので、実家にいた頃は軽く塩をした浅漬けしか食べた事がなかった。働き始め、外で食事をする機会が増え、そしてお酒も頂くようになって、柴漬けや沢庵などを知った。
糠漬けに目覚めたのはここ10年くらいの事。でも漬物屋さんの糠漬けには何故か手が出ない。先入観かも知れないが、酸っぱそう、とか塩分が強いのでは、と思ってしまう。でも食べたいなと思った時に、MUJIで糠床を見つけたのをきっかけに、自分で漬けてみることにした。何事も、特に保存食、発酵食は自分でやってみたい方だ。
昔は ”糠みそ臭い女” と言う形容は、ある意味野暮ったさや、イケてない感を現したけれど、結構今時はカッコいいかしら、なんて思っている。早速、容器を用意してつけ始めた。が、やはり塩分はかなりしっかり強めで、せっかく漬けても量が食べられない。塩分は足りなければ足すことは出来るのだけれど、多いのは困る。この時ちょうど季節は5月。いつも頂く筍を茹でるのに、お米屋さんから米糠を買っていた。そんな少量を売ってくれる訳はなく、最低で500g。この際、余る米糠で自分で糠床を作ってみようと思い立った。
塩と水、栄養分となる野菜くずや昆布、鷹の爪などを入れ、3週間ほど手入れをしながら置くと、糠床が出来上がる。最初は塩味に角があるけれど、漬けながら時間が糠を育ててくれる。まだまだ3年半だけれど、末長く育てて行けたら楽しい。
この呉須赤絵の鉢は最近度々登場している、永楽 妙全の作。第14代 永楽 善五郎(得全)の妻で、前回No.200の回の和全の息子の嫁、という関係になる。浅めで小振りの鉢は、見込みが広く感じられて大らか。緑釉が鮮やかで白磁の肌によく映える。この鉢は、金泥を使っていないので、洗う時にもそれほど気を使わずに使えるのが良い所だ。たっぷり食べたい香の物を盛る時にも使いやすい。
器 呉須赤絵鉢 径15cm 高6cm
作 永楽窯 永楽 妙全