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うつわ道楽

No.209 プルドポークのサンドウィッチ

 以前、友人とパリとローマへ旅行した時に、ローマのフィウミチーノ空港から日本へ帰る時の事。空港でチェックインを済ませ、搭乗までに時間が有ったのでイタリアでの食べ納めに、とフードコートで食べた、ボリューム満点のサンドウィッチが長い間忘れられないでいる。熱々のポークの塊肉をカットして、パンに挟んだだけのものだったけれど、とてもジューシーで、カロリーも中々なものだった。空腹だった事もあって、最後のビールと一緒に、あっという間に食べ終えた思い出がある。あの時の、あのポークは何と言う料理だったのだろう、とずっと頭の隅に引っかかっていた。ただのグリルにしてはとても柔らかくて、不思議に思っていた。雑誌の料理のページで、このプルドポークを見つけた時、きっとあのローマの空港で食べた物に近いはず、と思った。

病院の待合室で見ていた雑誌のプルドポークは、塊肉で作るけれどそれを細かく割いてほぐして脂の部分を取り除く。だから、料理としては見た目が違うけれど、脂が無くてヘルシーで、今の私にはこの方が嬉しい。

雑誌のページはその場で写メを撮った。後日材料を用意して早速作ってみた。豚の塊肉にしっかりと塩をして、1週間置く。それを香味野菜やハーブと共に茹でてそのまま冷まし、細かくする。しっかり塩をしているのでそのままでも美味しいけれど、パンに挟むときは少しのワインビネガーやブラックペッパーを加える。ローマで食べた物と同じではないけれど、自分で作る中では一番近く、満足出来るサンドウィッチだ。

 この皿は、英国 Wedgwood (ウェッジウッド)のサンドウィッチプレート。皿自体は古い物ではないけれど、デザインはSusie Cooper (スージー • クーパー) のもの。彼女は、一時期 Wedgwood  でデザイナーとして在籍していた事がある。裏には Wedgwood の 下に “Susie Cooper Design”と明記されている。Susie Cooper の器と比べると絵柄の色使いが違い、グレイッシュなブルーやグリーンを使ってとても落ち着いた印象だ。素地の色も質感も違うから、やはり絵柄の色使いも違ってくるのだろう。繊細な細い筆のタッチで描かれたアネモネの花が美しい。

器 サンドウィッチプレート  径24x24cm 高4,5cm

作 Wedgwood Susie Cooper Design