カテゴリー
Uncategorized

うつわ道楽

No.211 炊き合わせ

 白磁に、刷毛目を残して朱の釉薬を塗った、それだけなのに凛とした美しさが有る。朱の釉薬の溜まりによって、色の濃さや表面の凹凸の些細な変化が何とも言えず美しい。見込みには呉須で 『壽』 の一文字。紅白に寿、縁起の良いこの鉢は 北大路 魯山人のもの。

 プロにはとても遠く及ばないけれど、なぜか魯山人の器は素人の私でも盛り付けやすい。こんな風に盛ってみて、と器に言われているようだ。魯山人ご本人が料理を盛ることを考えて作っているからだろうが、料理をする人に広く懐を開いてくれているように感じる。

炊き合わせは、里芋に牛蒡、人参、蓮根、椎茸、高野豆腐と菜の花。お正月は甘味が強めな料理が多く飽きるので、出汁を効かせたさっぱり味に仕上げた。器と共に素材の味を楽しめるひと皿になった。

器 金襴の赤 鉢   径21cm 高10cm

作 北大路 魯山人