No.217 かりんとう

裏庭の紅梅は今、満開。並んで植っている遅咲の白梅も花が開いて来た。いつもの年は白梅が咲き始める頃には紅梅が終わっているのだけれど、ここの所の冷え込みのせいか、今年は珍しく紅白が揃って咲いていて嬉しくなる。
この皿は、木地の模様と削った溝が透き漆で透けて見えて美しい。見込みには金と銀の蒔絵で梅が描かれている。作者は 吉田 金年という大正~昭和初期ごろに活躍した蒔絵師で、伊勢屋會という蒔絵師一派の中心にいた人だそうだ。
箱には”紫野 大徳寺 龍光院 の什器”と記されている。安土桃山時代から江戸時代初期にかけて大徳寺で住職を務めた 江月 宗玩 (こうげつ そうがん)の好み物で、後の時代に吉田 金年が写しものらしい。金年も、江月も、遠州流の茶人でもあった。
少し話が逸れるが、江月は 小堀 遠州 の5歳年上で、天王寺の豪商の家に生まれ、春屋禅師のもとで頭角を表し、黒田 長政の請に応じて大徳寺に龍光院を創設。茶は遠州に学び、松花堂昭乗とも懇意の間柄で、この両者との茶の湯の交流は深いものがあったらしい。孤篷庵は、遠州34歳の時に 江月が遠州に建てるように勧め、黒田長政の援助により、龍光院の広い敷地の一角に建てられたのだそうだ。
この薄く削られた皿は、長い年月で少し歪んだり反ったりしているけれど、黒漆などではなく木地を生かした透き漆に金銀の蒔絵が控えめに描かれている。その控えめな美しさが、遠州好み、そして江月のお好みだったのだろうか。出かけた折に買って来た、きな粉のかりんとうと苺のお菓子を盛って楽しんだ。

器 紫野 龍光院の什器 江月好 菓子盆 径20cm 高3cm
作 吉田 金年