No.221 蛸と胡瓜の酢の物

魚屋を覗くと、近頃は蛸をよく見かける。真蛸、それも明石産だとすごく高いけれど、今は三陸だったり海外からの輸入もあって価格の幅が広い。烏賊の刺身は昔から大好きだった。けれど烏賊刺しを別にしたら、他の料理の烏賊や蛸の類いは特に好きでも嫌いでもなく、自分で買う事も少なかった。それが近頃は食べたくなる。蛸の美味しさにやっと気が付いたのだろうか。私の母は、烏賊と蛸が好物だった。歳を経て味覚も似てくるのかもしれない。
春先の少し暖かい日には、さっぱりした酢の物が食べたくなる。茹でた蛸を削ぎ切りにして盛り合わせた。深いコバルトの青を使ったガラスの鉢に盛ると、胡瓜の緑と蛸の赤と白が瑞々しく、春めいて見える。
これは切り子の鉢。確証は無いが江戸切り子と思われる。深くカットされた凹凸が際立って、持つと見た目で測った通りの重さ、手に馴染む丸味が心地良く、つい使いたくなる。これからの季節、食卓に登場する機会が多くなりそうだ。
器 切り子小鉢 径12cm 高5cm
作 不明