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うつわ道楽

No.228 生七味

 近所の鶏屋さんで焼鳥を買って来た。焼鳥に七味唐辛子は欠かせない。瓶詰めで売っている、お気に入りの生の七味唐辛子を出した。いつもはお皿の端に置いたりするけれど、時にはちゃんと器に盛るのも気分が変わる。普段から薬味入れに使っている青磁の手桶の形の器に入れた。

お抹茶のお手前で使う水指に同じ形の物がある。真塗りの蓋が添っていて、もちろんこの器よりかなり大きい。この器は同じ形をしていて小さいだけだけれど、小さき物はなぜか訳もなく愛らしい。裏に印らしき物はあるけれど判別も付かず、どの時代に誰が作ったものかは不明。たまたま集まって来た我が家の器達と色々組み合わせて使っている。

青磁は、もっと澄んだ明るいブルーの色から、この手桶のように黄味を帯びて濁った緑、さらにもっと沈んだ深い緑まで色の幅は広い。でも、どの色の青磁でも食卓に並べると染付や漆の椀とのバランスが良く、とても使いやすい。焼鳥は古染付の皿に盛って青磁の色を添えた。

 近頃は新しい和食器もブームのようで、あちらこちらで若手陶芸家が作る、洋食にも使えそうな和陶磁器を見掛ける。家具やインテリアなどを扱う国内外の大手小売店や百均でも、格安で食器は手に入る。でも100年後、この中で大事に使われ続けている器はどれだけ有るのかしら、と考えてしまう。我が家に有る器たちは既に長い時を経た物が多く、先人達の手を渡って今ここに在る。その器たちを、小さな物でも生活に取り入れて、次に繋げて行く人も増えてくれたら良いなと思う。

器 青磁 手桶形小鉢  径6,5cm 高7cm(持手込)

作 不明