No.232 鞘いんげんのそぼろ和え

美味しそうな、旬の鞘いんげんを買って来た。”絹さや” や “スナップエンドウ” など豆科の野菜は、茹で過ぎないシャキシャキの食感が好きだけれど、この “鞘いんげん” は少し気長に茹でるようにしている。過去に何度か失敗した事があるが、茹で時間が短いと皮の歯応えも悪く、青臭さが残って美味しくない。塩茹でした鞘いんげんを鶏のそぼろと和えて、八田 円斎 の向付に盛った。
『淡交』別冊の “光悦 光琳 乾山 時を超え息づく美” に掲載されている “八田 円斎の数寄風流” の中に「有職文様の三重襷を胴に巡らせた金襴手の深鉢」と紹介されている。薄手の白磁に、むらの残る朱の色を掛け、その上に金と銀で模様が描かれている。とても気品が有って美しい。以前 No.199 の回で、円斎 の “古染付写 笛吹人小皿” を使った。その時、元は古美術商で、と書いたがそもそも生家は指物師。父の腕を継承し、そちらの腕も確かな物だったらしい。後に京都で円能斎に茶の湯を学び、窯を開けば “今仁清” と言われるほど、何を作っても才能と技能を兼ね備えた人だったようだ。磁器も陶器も繊細だけれど堅苦しくなく上品。使う度に嬉しくなる。
器 金襴手 向付 五客 径11,5cm 高6,5cm
作 八田 円斎