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うつわ道楽

No.240 白玉あずき

 小豆を茹でた。お正月に用意してそのままになっていた大納言。料理は好きだけれどお菓子はたまにしか作らないのでハードルが高い。でも久しぶりに白玉が食べたくなって、残っていた大納言を炊いてみた。やはり難しい。目指した茹で具合より固く、残念な事に白玉との一体感が感じられない。煮崩れを警戒して、砂糖を入れるタイミングを早まったのだ。一朝一夕には出来ないわね、と反省しまた挑戦しようと思う。

 白玉は母が好きだったので時々作っていたけれど、その時は缶の茹で小豆を使っていた。美味しいし手軽、失敗は無い。白玉は白玉粉を水で溶いて丸めて茹でるだけ。シンプルだから、水の量さえ間違わなければ問題無いけれど、形に迷う。まん丸の球状にするのは難しいし、盛り付けた時も見栄えが良いとは思えない。

昔、新年に集まりがあって白玉を作った時、ある人が “白玉は、真ん中を少し窪ませてヘモグロビンの形にすると良いのよ” と。彼女は裏千家の茶道の先生。お菓子として使うから白玉の形も研究していたのだと思う。それにしても “ヘモグロビン” って、一般人は思いもつかない説明だ。実は彼女の本業は病院の検査技師。それを知っている私は、なるほど、と面白いながらも上手い説明だわと納得した。それ以来、白玉を作る時は “ヘモグロビン” 形を目指している。

 このクリスタルガラスの器の作者は不明。実家に在ったもので使う機会がなかった。カップの部分は手吹で作られていて5脚有る器はガラスの厚さが薄かったり厚かったり、かなり違いがある。今回使ったのは薄手のものだ。脚の部分は正方形の柱形でそれぞれの角を面取りして8角形。透き通ったクリスタルガラスの脚の重みが器の安定感を作り出している。

果物やアイスクリームなら間違い無いけれど、何を盛ったら楽しいかしら、とずっと考えていて白玉を思い付いた。冷たく冷やしたあずきと白玉を氷のように見えるガラスの器に盛ったらとても涼しげ。炊いた小豆はまだ少し残っているけれど、みつ豆に入れたらえんどう豆の代わりになるかしら、とか南瓜と煮ようかしら、と考えている。

器 クリスタルガラス 脚付コンポート皿  径9,5cm 高8cm

作 不明