No.242 天麩羅の塩

団扇を模った手塩皿。我が家には5枚在って、小さい見込みに絵替りで色々な植物が描かれている。箱には10枚と書かれているので、元は10枚揃いで作られたようだ。器の形の夏らしい意匠に拘らず、描かれている花や実の季節は様々。今日は夏らしく朝顔を選んだ。天麩羅は茄子、玉蜀黍、南瓜、桜海老と三つ葉のかき揚げ。冷たい素麺と共にいただいた。
見ていて飽きない、とても素敵なお皿だけれど、何を盛ろうかと考えると難しい。小さなお菓子か佃煮、などと考えるけれど、枝豆や天麩羅に添えて文字通り “塩” を盛るのが似合う気がする。
この皿は乾山焼。元禄時代(1688〜1704)、尾形 乾山 が京都の鳴滝 (なるたき) に窯を作った。この皿は時代も作者の名前も明記が無いので不明だが、その窯の陶工が作ったものだろう。丸くて大きい団扇の持ち手が愛らしい。少し立ち上がった皿の縁から、焼きが甘く柔らかい事が伝わる。見込み全体には実際の団扇に倣って少し盛り上がった細くシャープな骨があり、その上に描かれた朝顔も本当に団扇に描かれた絵のように骨の上に浮き上がる。手の込んだ作り方だと感心する。

器 乾山焼 絵替 団扇皿 径10x8cm 高1cm
作 不明