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うつわ道楽

No.5

祝日を、週末に続く月曜日に移動して3連休にするシステムを移動祝日と言い、変わったのがちょうど20年前、2001年の事だそうだ。昔は成人の日と言えば1月15日と決まっていた。今年は残念ながら式典を取り止めた所が多かったと聞くが、私が成人式を迎えた頃は、この日にどこの市町村も一斉に成人式が行われたものだった。今は、その年の曜日の巡りで日にちは変わる。

しかし、節分は私の記憶の中では常に2月3日と思っていた。 うるう年が4年に一度巡って来ても節分は3日だったのに。と、これは私の素人考えの独り言。今年の節分は2日なのだそうだ。節分が1日前になるのは何と124年ぶりの事らしい。国立天文台の計算で導き出される立春(旧暦のお正月)の前日(旧暦の大晦日)に邪気を払う儀式が節分の豆まき。つまり今年の立春は2月3日。37年前、1984年には後ろにずれて5日が立春、4日が節分という年が有ったのだそうだ。私はすっかり忘れていたのだが。

 元来、穀物や液体などの体積を計るための容器である枡だが、お供えの米や豆を神様に捧げる器として、神聖なものとされていたのだそうだ。また、マスの音が “増す” や “益す” に通じ、縁起をかつぐ意味もあるらしい。

この器はその枡型のぐい呑み。ハレの日にお酒をいただくのに相応しい華やかな金蘭で、見込みに呉須で絵が入っている。どちらも12代 永楽善五郎、和全の作。重ねても上手くはまらないので、入れ子として作られたものではないらしい。奥の小さい方の器に、明治6年と有るので和全が50歳の頃の作と思われる。

器 金蘭手 酒器

作 永楽和全

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うつわ道楽

No.4

  茶碗蒸しが食べたくなって、小海老と百合根を買ってきた。あのとろっとした柔らかい卵が好きなので具は少なめが良い。だから用意した海老と百合根も、茶碗蒸しだけでは使いきれず残ってしまった。そこで、思いついて作ってみたのが写真の料理。中の具が透けて見えるようにお出汁味の寒天寄せ。料理屋さんを真似てお上品に。

 六角形のガラス器は、夏にはよく冷酒をいただくのだが、細かくひわった質感がとても繊細で、力を入れると壊れてしまいそうなほど。かなり以前から使っていて、今となっては作者は不明。それ程古い出来のものではなく、日本のガラス作家さんが作られた物だと記憶している。

具の三つ葉の緑を見ていて、受け皿には水仙の緑の葉が美しい、この乾山写しの皿を合わせたくなった。ガラスの素朴な質感と薄い土ものを合わせるのも面白いのでは。素人の道楽だからなんでも自由。菓子皿として使うのが普通だが、ソーサーとしてスプーンを添えて。滑り止めとキズ防止に、懐紙を切って底に敷いた。繊細な器には、木や竹のスプーンを使うと当たりも柔らかで安心だ。皿は全て違う絵柄が描かれた5枚組。

器 乾山写し 絵がわり小皿5枚組

作 清水 六兵衛

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うつわ道楽

No.3

 見るたびに思わず頬が緩んでしまう、このずんぐりむっくりの愛らしいフォルム。大量に作られたものには無い、ひとつひとつ手作りされた作品だからこその個体差。同じ作家の赤絵瓢型(ひさごがた)の徳利の中でもひときわくびれが少ない。

この季節、熱燗は最高のご馳走。熱い徳利から、その日の気分で選んだお猪口に注ぐ一連の動作にも楽しさが有る。ただ、前の 時代のお猪口はとても小ぶりで少々物足りなかったりする。  一般的に酒を呑む器を総称して盃(さかずき)と言う。『盃を交わす』の盃。しかし正しくは、特に平らな形のものを盃と呼ぶのだそうだ。お猪口は、小振りでひと口かふた口で飲み干すほどのサイズのもの。それより大きく、口に運んだ時に鼻まで隠れるような大きさのものをぐい呑みと呼ぶのだそうだ。しばらく前、世界的な日本酒ブームが起こったお陰で、和食以外でもビールやワインと並んで日本酒と言うチョイスが加わり、ワイングラスに注がれる光景も見かける。

この徳利は、ふたつの徳利と揃いのお猪口5つの揃いもの。同じく呉須赤江で開いた口に丸みを帯びた小振りのお猪口が組んでいる。が、私は土もので温かみのある徳利には、すっきりした  白磁のお猪口でいただきたい。

器 瓢型 酒器揃  白磁梅紋猪口

作 近藤悠三

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うつわ道楽

No.2

 おせち料理のルーツは意外に古く、奈良時代、朝廷内で行われていた節会(せちえ)に由来すると言う。季節の節目に開かれていた宴を正月に限定して『御節』おせちと呼ぶようになったのは江戸後期の事だそうだ。現代のおせちは江戸時代に雑煮に添えられた肴が進化して今の形になった。江戸時代、18C頃には今もおせちの定番である数の子、田作り、黒豆などが御節のメニューとして存在していたそうだ。

写真の古清水(こきよみず)焼の扇面の器はちょうどその頃、江戸時代18Cのものと推察されている。軽く当たっただけでも欠けたりヒビが入る甘い焼きの器が、美しい形で今も在るとは。  一体どれだけ大事にされてきたのだろう。作者不明の松竹梅が描かれたこの皿は、何も盛らずにそのもので眺めた方が美しいとも思える。が、これにお正月料理を盛って器と料理を肴に新年を祝えるとは何と贅沢で幸せな事かと感じる。因みに箱書きの銘には仁清と有るが、仁清の作とは思えない。いつの時代に誰が作ったものかは不明。

この器のように焼きが甘い場合は、そのまま使うと汁が染み込みシミとなって汚れが残るので色の濃い料理は避けるべきと思う。更に盛り付ける前に水かぬるま湯に入れて予め水分を含ませて色が入らないように、と気遣う。黒豆は、絵柄にちなんで梅の豆皿を使って盛り合わせた。

器 仁清松竹梅 地紙菓子皿(箱書きそのまま 箱の時代は不明)作 不明

料理 紅白なます 紅白蒲鉾 山葵漬け 黒豆

文中のおせちの歴史については、サライ公式サイト 伝承料理研究家  奥村彪生さんの記事を参考にさせていただいた。

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うつわ道楽

No.1

ある時、道楽で集まった我が家の器に料理を盛って記録に残したいと考えた。もう何年も前の事だ。        

我が家の器は、時代のある古い物が大半。縁あって今は私の手元に有る。多くの人々の手を渡って大事にされてきた器たちは、いずれまた次の誰かの手に渡り、大切に受け継いでもらいたいと願う。今、私の手元にあるこの器たちを記録にも記憶にも残したい。

主婦歴は長いが料理のプロではない。ブログも初めて。テクニックの未熟さはご容赦いただきたい。

日本の文化で新年のひとつの儀式、おせち料理。手持ちの器の大半は時代物、と説明していながら初回のお重は実は現代の作家さんもの。二人前の二段重ねに取り皿二で全四段段。漆の奥に透けて見える木目と木皮が美しい。

器: 木皮二段重箱 皿二枚付               

作: 漆芸家 本間 幸夫

料理: 車海老の旨煮 紅白なます 洋風のし鶏 牛八幡巻   菜花 黒豆 叩き牛蒡 鰤 慈姑 洋風.五色卵