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うつわ道楽

No.9

 カフェ風にワンプレートに盛り合わせ、休日のブランチ。この時期が旬の芽キャベツ。ブロッコリとスナップエンドウ。濃い緑の野菜を茹で、大好きなアメーラトマトと作り置きのマカロニサラダ、キッシュも盛り合わせればこの大皿一枚で好物が揃う。

 この花柄の大皿はイングランド製。Susie Cooper(スージー クーパー)が、まだ Gray’s Pottery 窯でペインターを経てデザイナーをしていた頃のもの。後の1929年、27歳の誕生日に独立して Susie Cooper を設立している。Gray’s Pottery 時代、この皿と同じ花を描いた小皿とデミタスカップ&ソーサーも所持している。それらは、地肌が少し黄味がかって優しい雰囲気に仕上がっているが、この大皿は白磁の肌に大胆な花柄と太い黒を基調としていて主張が強く、絵皿としての完成度の高さゆえ、料理を盛るのも躊躇する。これより後の時代の Susie Cooper は、より優しい色使いと柔らかいデザインのものが多く、それはそれで使い勝手が良いし好きなのだが、この頃の若き Susie Cooper のパッション溢れる作品は、私の宝物だ。

GRAY’S POTTERY MANLEY ENGLAND Susie Cooper

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うつわ道楽

No.8

 裏庭の、今が満開の紅白の梅の木の下に、蕗が自生している。毎年育っても蕗としては茎が細く、スジを取って下処理をすると食する部分は割り箸ほどの細さ。だから今の時期、蕗のとうの状態でほとんどを収穫し、食卓で春の恵みを楽しむことにしている。一番の好物はやはり天ぷら。強すぎる苦味も緩和され、揚げたてのサクサクを塩でいただくと、口の中に春の香りが広がる。栽培方法の開発や改良によって、多くの野菜が一年中手に入る時代ではあるが、今でも蕗のとうは季節限定の楽しみだ。

薄衣を纏って淡い緑色に揚がった天ぷらは古染付の皿に盛った。こうして盛ると、3頭の馬が春の野に遊ぶかのようにも見えてくる。古染付は大好きで多く所持しているが、このサイズの皿は元々の数も少ないらしく、我が家にもこれ一枚きりだ。

器 古染付馬文皿 (径17cm)

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うつわ道楽

No.7

 人気の餃子。こだわって作られた専門店のもの、家庭での手作りの味、レベルの高い冷凍食品とそれぞれの美味しさで身近なメニューだ。日本で食される餃子のほとんどは焼き餃子だが、発祥の中国では地方にもよるが餃子と言えば水餃子なのだそうだ。 ちなみに中国では明の時代には既に存在したらしい。もっちりした厚めの皮に、具は肉、野菜、海鮮と多種多様で、おかずではなく餃子自体が主食として食される。。。そう聞くと、かなり乱暴だけれど日本のおにぎりを連想した。だがおにぎりのようなカジュアルな位置付けとは違い、中国では縁起もの。春節の頃に長寿を願って大晦日に年越しとして食べたり、元旦に豊作を祈って、と日本の年越し蕎麦やお節のような位置付けだ。

写真の水餃子。皮は一般的な焼き餃子用の市販のものを使ったので、水餃子にしては薄めだが、焼き餃子とは違って具が薄く透けて見える綺麗な乳白色に仕上がった。発祥の中国に敬意を表してこの明朝頃と思われる青磁の皿に盛ってみた。何を盛っても映えるお気に入りの皿。香菜を添え、漬けタレにナンプラーを加えたらアジアンな味わいになった。

器 青磁 八角皿

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うつわ道楽

No.6

 数日前、家の近くを歩いていて咲きはじめの紅梅を見つけた。開いているのはまだ数輪だ。かなりの老木で、高さは私の背丈より頭ひとつ大きいくらいの小さい木だが、細い枝が天に向かって突き出し、その枝の一本一本に色付いた蕾が沢山付いている。 立春とは言えまだ冷たく澄んだ空気の中、律儀にもいち早く春の気配を届けてくれる。

 古余呂技(こよろぎ)窯、川瀬 竹春は大好きな作家さんだ。白磁に黄や緑、青の釉薬を使って、ヘラで面を取った表面に柔らかな図柄の、なんとも優しい作風。それとは別に、この湯呑みのようにぽってりとした肉厚の白磁に、呉須、赤、黄、緑で古染の赤絵を模して描かれた作品も多い。

こよろぎ、とは変わった音だわ。とはじめ思ったが、竹春の作品を見ているとこの音が妙にしっくり来くる。この二代竹春が、父の初代と共に、1949年に京都から神奈川県大磯に移住し窯を持った。その後、1960年、父から独立して開いた窯を古余呂技窯と名付けた。古余呂技とは、以前大磯辺りをこう呼んでいたらしく、地名に由来するものらしい。

この湯飲みは最近ウチに来たもの。なるほど。竹春だわ。と納得する。一目で好きになった。実は、これでもお酒をいただいてみた。だがやはりこの湯呑みは、和菓子と一緒に緑茶をいただくのが似合う。

器 赤絵梅文 湯碗 古余呂技窯 二代 川瀬 竹春(順一)