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うつわ道楽

No.208 おでん

 この季節に食べたくなるおでん。大根と蒟蒻、牛すじなど好きな具材を入れて、ゆっくり煮込んで味が沁みたおでんは身体が温まる。久しぶりに、島岡 達三 (1919〜2007) のこの皿を使った。

 若い頃、結婚して暫くした頃に、2枚だけ購入した思い出の皿。当時の月給では2枚買うのもやっと、の大きな買い物だった。ちょうど今日は結婚記念日なので、使ってみようと出してみた。この皿を買った頃は経験も浅く、いつ壊すかと使うたびにとても緊張した。思えば、器を使う楽しみはこの皿から始まったのだった、と懐かしく思う。

厚手の皿は温かみのある質感で、大らかな刷毛目に鮮やかな色で素朴な花が描かれている。益子焼の濱田 庄司に師事した島岡 達三らしい、民藝調の皿。長い年月、この皿には数え切れないほどの料理を盛って、楽しませてもらった。この先も大切に使い続けて行きたいと思う。

器 益子焼 刷毛目 赤絵草花文皿  径18cm 高4cm

作 島岡 達三

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No.207 冬の果物

 冬なのに葡萄?と思ったら、いただいたこの『グローコールマン』という葡萄は、ロシアのコーカサス地方原産で、冬に収穫される珍しい葡萄だそう。日本では岡山県で生産されている。さっぱりして、酸味が少なく穏やかな甘みの葡萄だ。八百屋の店頭で真っ赤な小振りの紅玉を見つけたので、買って来た。林檎と柿と一緒に3種の冬の果物を盛り合わせた。

 手付きの器は萩焼ではないだろうか。箱が無く、本体にも銘が入っていないので、どこで、いつの時代に焼かれたものか、作者も判らない。手付きの器は、器の縁から手が出ている事が多いけれど、皿の面から手が出ているのが面白い。盛り付けに少し悩んだけれど、静物画のデッサンをしたくなりそうな、そんな盛り合わせになった。

器 手付き鉢  径21,5cm 高5,5cm (持ち手込 13cm)

作 不明

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No.206 カリフラワーとアンチョビ

 今、八百屋の店先には旬のカリフラワーが並んでいる。見るからに瑞々しく、乳白色のつぶつぶした蕾が輝くように美しい。旬だけあって、大きな房でも求めやすい価格。丸ごと買って、何種類かの料理で楽しめる。

 小学生の頃、給食にホワイトシチューが有って、好き嫌いが多かった私の数少ない好きなメニューだった。そのシチューにはカリフラワーが入っていた。それが私のカリフラワーの最初のイメージで、未だにホワイトシチューにはカリフラワーを入れたくなる。

カリフラワーは、シンプルに塩茹でしてサラダでも美味しいけれど、沢山ある時はインド料理のサブジにしたり、ピクルスを作ったりする。グリルも美味しい。塩胡椒でさっぱり仕上げる事もあるけれど、今日は塩胡椒の代わりにガーリックとアンチョビを使って、とても簡単でワインにぴったりな一品にした。

カリフラワーは軽く下茹でしておく。オリーブオイルで細かく刻んだにんにくをゆっくり炒め、色がつき始める前に細かくしたアンチョビを加えて炒め、そこにカリフラワーを加える。アンチョビは塩味も旨味も強いので、これだけで味が決まる。カリフラワーでなくてもブロッコリーでも、ほうれん草で作っても美味しい。洋風の野菜料理を一品加えたい時にお勧めの料理だ。

 カリフラワーを盛った小鉢は、以前私の姉がスペインのアンダルシア地方を訪れた時に、お土産に買って来てくれた物。古い器ではなく、日常に使うようにその頃、その土地で作られていた物だ。貰って以来、気に入ってずっと使っている。外側は赤土の素焼きのままで、見込みにだけ釉薬が掛かって模様が描かれている。厚く掛かったこの白い釉薬は、スペインの焼き物には多いのかもしれない。私が昔旅行で訪れた時に買った陶器にも厚く白い釉薬が掛かっている。

外側の素焼きの素朴さと、見込みの黒を使った大らかな絵柄のコントラストが鮮やかで、何となくアフリカのデザインを彷彿とさせ、アフリカ大陸との距離の近さも感じる。

器 スペイン小鉢 径13,5cm 高5,5cm

作 不明