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うつわ道楽

No.263 鶏そぼろの卵焼き

お正月に、伊達巻の代わりにと思い付きで作ってみた卵焼き。お節は甘い料理が多いので、甘みを控えた卵焼きを、と考えた。でもだし巻き卵よりは日持ちが良く、しっかりした卵焼きにしたかった。それで思いついたのがこれ。いつも作るそぼろご飯の鶏そぼろを入れた卵焼きを芯に、外側を卵だけで巻いた二重構造。味もしっかりしていてご飯にも合い、満足の行く出来栄えだったのでまた作ってみた。

盛り合わせたのは黒豆と広島の漬物。漬物は胡瓜と人参を広島菜で巻いてある物で、以前よく食べていたのが懐かしく、久しぶりに買って来た。ご飯にも合うし、お酒にも合う。新年を祝う若松が描かれた皿に盛った。

 この皿は、初代 伊東 陶山(1846〜1920)の向附。明治から大正にかけて活躍した。横長で深さのある見込みに、美しい線で若松が描かれている。裏には脚が3本、高さが出るので御膳や食卓に並べた時のバランスも良い。見込みの絵の構図やバランスに目を惹かれて調べてみたら、12歳から円山派の画家 小泉 東岳 に絵を習い、その後東岳が手掛けていた作陶を手伝うようになって陶芸の道に進んだのだそうだ。私が惹かれた理由も、その辺りにあるのかも知れない。

陶山は京都の粟田口三条に生まれ、東岳に学び、その後、五条坂の陶工 亀屋 旭亭 に弟子入りして本格的な陶器製作を開始。三代 高橋 道八、村田 亀水、幹山 伝七、岩倉山 吉兵衛 などここにも登場している陶芸家の窯を訪ねて研究に励んだ。1867年、祇園白川に “陶山” を開業、茶器、酒器など創作性の高い作品を作った。明治に入ってからは洋食器や装飾品などを作り海外貿易にも積極的だったそうだ。

 季節を楽しむ食材や料理、そしてそれを盛り付ける器まで、それら全てを愛しむ日本人の “心” が和食の文化をここまで作り上げて来たのだと改めて思う。そしてそれをこの時代に享受する自分は幸せ者である。

器 若松繪 向附 五枚組  径19×10,5cm 高3cm

作 初代 伊東 陶山

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No.262 お正月の盛り合わせ

 歳を得るごとに時の経つのが早くなる。日々、それなりに忙しくしているのだけれど。特に昨年の夏の暑さは長かった。暑さが一段落したらあっという間に新年がやって来た。でも、もし病に臥せっていたら、と考えたら一日一日はとても長く苦しいだろう。だからこれは、健康で過ごせている証なのかも知れない。また今年一年、元気で過ごせる事を願う。

 年末を忙しく過ごしていたので、お正月料理はいつもの紅白の蒲鉾の他に、気に入った美味しそうな黒豆やなますを買い揃えて盛り合わせた。使った器は 飛来 一閑(ひき いっかん) の通盆。代と時代は不明。通盆とは、茶会や懐石で亭主が料理などを客人へ運ぶためのお盆の事。だから本来は直に料理を盛るものではない、のだけれど盛り合わせるのに大きさもちょうど良く、気に入っている。

飛来 一閑は、一閑張り細工の家で千家十職のひとつ。和紙を貼り合わせて生地を作り、それに漆を掛けて棗や香合などを作っている。初代は江戸時代初期 寛永6年(1629年)に、中国から渡来してきた明国の学者で、古代中国に伝わる乾漆工芸の印可を受けた技術の持ち主だったらしい。日本の良質な和紙を主原料に、独自の技術を考案したことが一閑張の始まりで、日本での創始者とされている。当代は16代に当たる女性が勤めているそうだ。

漆盆ではあるけれど、見込みの筋の凹凸が表情になって、器のように見えて来る。華やかな色の料理が美しく映える。

器 一閑張 通盆 5枚組  径22,5cm 高2,2cm

作 飛来 一閑 (代不明)