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うつわ道楽

No.12

 土ものの器、特に備前焼のような大地の色、土の肌には瑞々しい野菜を盛ると美しく映える。

この蕪は冬の時期、石川(県)の蕪、として地元の八百屋に並ぶ。いつ頃からか、夏と冬とそれぞれに好きな蕪に出逢ってから、自分の蕪好きを自覚した。夏には野辺地、冬は石川。真白できめの細かいその肌を見るとうっとりする。どちらも肉質が柔らかく、火を入れずに生でサラダや浅漬けにしていただく。もちろん煮物や味噌汁にしても甘味が増して美味。季節ごとに色々な料理で楽しませてもらう。その石川の蕪が、数日前に買いに行ったら八百屋に見当たらない。聞いたら『先週で終わったよ』と言われた。『だってもうすぐ桜だよ』と。確かに季節はもう春。さびしいけれど、これも旬の楽しみだ。家にひとつ残っていたこの蕪を、今年最後の浅漬けにしていただいた。蕪好きとして、次は初夏に登場する野辺地の蕪を楽しみに待つとしよう。

 この備前の器は、現在もご活躍の大澤 恒夫さんのもの。抹茶茶碗も作っていらっしゃる方だ。このお茶碗、元々お抹茶椀として作られたものかどうかは不確かだけれど、薄茶の緑もよく映えそうだ。

器 備前焼茶碗 径14cm

作 大澤 恒夫

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