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うつわ道楽

No.147 鰤大根

 鰤(ぶり)の旬には少し早いけれど、魚屋の店先で天然鰤のあらを見つけたら鰤大根が食べたくなった。昼間は秋晴れで金木犀が香る気持ちの良い日でも、朝晩は手足が冷えて急に暖かい煮込み料理が恋しくなる。

鰤は一度塩をして熱湯にくぐらせてから水洗い。血あいなどを除く事で臭みを取る。大根は切った時の包丁の通りが柔らかく、煮ると芯まで蕩けそうに柔らかい。鰤の旨味が沁みて美味しくなった。

厚手で力強い、交趾(こうち)焼の鉢は第12代 永楽 善五郎、和全の作。大きく鉢を二分する入(にゅう)は、焼成の過程で出来たものだろうか、金で直してある。箱も無いし、焼き上がりで傷が有るために外されたのを、何方かが直して使ったのかもしれない。長くこの金継ぎされた入と共に使われ、大事にされて来たのだろう。古い金直しもこの鉢の一部として馴染んで、鉢に風格を与えているように見える。

器 紫交趾 鉢  径19,5cm 高9cm

作 12代 永楽 善五郎 (和全)

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