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うつわ道楽

No.149 春菊のお浸し

 これからが旬の春菊。春に花が咲くので春菊と名付けられたそうだ。関西では菊菜とも呼ばれるらしい。栄養価が豊富で、消化の促進や抵抗力を付ける効果も有る。風邪や感染症の予防にも良いと言うから、コロナやインフルエンザ予防にも良いだろう。

子供の頃はこの香りが苦手だった。最初に美味しいと思ったのは春菊の天麩羅を食べた時。少し香りが和らいで、シャリッとした食感で口の中ですぐに無くなる。香りが強い野菜は油との相性が良いのだそうだ。それからは天麩羅でなくても春菊の香りを楽しめるようになった。鍋や胡麻和え、卵焼きに混ぜ込んでも美味しい。

春菊の鮮やかな緑は、この鉢に良く映える。秋の七草の中の桔梗と女郎花が描かれた、白井 半七の鉢。七草とは言っても七草粥の春の七草とは違って七つの花を指すそうだ。

「ハギ・キキョウ クズ・フジバカマ オミナエシ オバナ・ナデシコ 秋の七草」

五・七・五・七・七のリズムに乗せたこの節は聞いた事がある。七草の由来は万葉集にある山上 憶良が詠んだ二首の和歌だと言う。秋の野原で花を数えたら綺麗な花が七種有った、と詠われたのがこの花たちだそうだ。秋の透き通った空の下、野山に咲く可憐な花が素朴に描かれていて、半七らしい柔らかさがあって、とても好きな鉢だ。

器 秋草花紋 鉢  径14cm 高9cm

作 白井 半七

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