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うつわ道楽

No.150 銀杏の素揚げ

 私達が日常的に飲んでいる緑茶。この銀杏を盛ったお皿のように見えるのは、そのお煎茶の点前で使う茶托として作られた物。作者は第5代 清風 与平(1921-1990)。文人に好まれ、文人趣味と呼ばれたお煎茶の道具や器を多く作った人だ。私が大好きな作家さんのひとりで、以前も何度か登場している。染付けや色絵を得意とし、古染付を多く写している。

 お抹茶は中国、宗の時代の喫茶法が日本に伝わり、禅の精神と結びつき戦国の時代に寺社や武士に好まれた。粉にせず、茶葉を使った煎茶の飲用法は明時代に確立したらしい。15世紀に九州に伝わり、後の17世紀に隠元禅師(1592~1673)が中国の生活様式を日本に紹介するとともに、中国製の急須に釜炒り茶を煎じて飲む喫茶法を伝たとされる。権力と結びつき、高価な茶道具がもてはやされる当時の茶の湯のあり方に異議を唱え、中国の文人達の暮らしに思いを馳せる京都の文人墨客たち。煎茶は彼らに受け入れられて日本に根付いたそうだ。

清風 与平は、自身もお煎茶を好み、茶碗や急須、湯冷ましや香炉、花入などを作った。その多くに中国の物語の一場面が描かれている。煎茶碗を乗せる中央の窪みに塩を入れ、素揚げした銀杏を盛った。季節を感じていただく山の恵みにはちょうど良い。細かく描き込まれた絵の中にストーリーを探しながら、秋の恵みを味わった。

器 染付茶托 六枚組  径10,5cm 高2,5cm

作 第5代 清風 与平

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