No.157 玄米茶
今年もあと数日。気持ち良く新年を迎えるための大掃除の手を止めて、少し休憩。玄米茶の香りが芳ばしく立ち上る。
普段はぐい呑としても使っている、このちょっと変わった湯呑みは5代 清風 与平の作品。大好きな陶芸家さんで、もう何度も登場している。白磁に呉須や色絵で、余白も残らないほどにくまなく描き込む。この湯呑は手捻りで、稚拙に見えるほどに形も歪。しっかりした鮮やかな呉須の色を背景に、花が白く表現されている。
玄米茶を注いで、この茶碗を眺めていた。花が描かれているはずなのに、そのひとつが龍の顔に見えて来た。次の年が辰年なのが頭の隅にあったからだろうか。龍と言ってもアニメに出て来そうなお茶目で可愛らしい顔立ち。家族に聞いても『いや。花でしょう』と一掃された。確かに、顔だけで身体は見当たらない。でも、一度そう思ってしまうと何度見ても私には可愛らしい龍の顔に見える。いくら遊び心の有る方だったとは言え、清風さんが花の中に龍を紛れ込ませた、なんて事は無いだろうけれど、私の中で、この湯呑にまた別な愛着が生まれた。
器 染付湯呑 径6cm 高8,5cm
作 第5代 清風 与平