No.167 蛤の酒蒸し
今年も三重に住む親類から蛤が届いた。大きくて新鮮。さっそく酒蒸しにしていただいた。
焼き蛤も美味しいけれど、近頃のガスコンロは優秀すぎて、高温になると自動的に消火されてしまい、料理によっては使い勝手が良くない事がある。カセットコンロを出して焼けばきっと出来るのかしら、と思う。次回は試してみよう。貝の下には旬の青菜を添え、蛤の汁を含んだ菜の花も美味しくいただいた。
使った皿は、村田 亀水(きすい)。8代の亀水が2018年に亡くなったそうだ。その後を継ぐ方はいらっしゃるのだろうか。この皿はその亀水の何代か前、幕末の頃に作られたもの。幕末期とは260年続いた江戸時代の最後の15年間を指すらしい。今からざっと160年前だから、4代とか5代の頃だろうか、確認は出来なかった。
鮮やかな呉須で細かく描かれた草花は生き生きとして、風に揺れる様が眼に浮かぶ。本体は厚手で、丸く作った皿のニ辺を切り取り、見込みにはその直線の縁に平行に、ヘラで抉り取ったような溝が数本。その大胆な作りにダイナミックさを感じる。裏には実と葉のついた枝の図が彫られ、その部分は土が見えている。その彫刻以外の肌には青磁色の釉薬がかけられていて、淡い緑青色の透明感が美しく映える。迫力が有りながら、繊細さと洒落感もあり、とても惹きつけられる。
器 染付草花紋 木瓜皿 径20x15cm 高4,5cm
作 村田 亀水