No.175 柏餅
端午の節句に食す風習の柏餅。調べてみたらその始まりは江戸時代だそうだ。『柏餅は徳川九代将軍家重から十代将軍家治の頃、江戸で生まれた。柏の葉は新芽が育つまでは古い葉が落ちないことから、「子孫繁栄(家系が途切れない)」という縁起をかついだものとされる。江戸で生まれた端午の節句に柏餅を供えるという文化は、参勤交代で日本全国に行き渡ったと考えられているが、1930年代ごろまで柏の葉を用いた柏餅は関東圏が中心であった。』そうだ。柏の葉はどこででも入手できる訳ではなかったようで、その後韓国や中国から柏の葉が輸入されるようになったこともあり、柏餅が全国的に主流となったらしい。
近所の和菓子屋で買って来た柏餅。肉厚の葉に包まれた餅には、ほんのり柏の葉の香りが移る。桜餅もそうだけれど、葉で包む事で香りを加えて完成させるとは、なんとも詫びた日本らしい演出だと思う。大きな椿皿のような根来の盆に柏餅を盛った。いつの時代のものかは判らないけれど、時間を経てとろりとした落ち着きのある漆の質感が美しい。漉餡の白と粒あんの草餅を盛り合わせて楽しんだ。
器 根来 高台付 盆 径27cm 高7cm