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うつわ道楽

No.179 金目鯛の煮付

 これから旬を迎える金目鯛。少し時期は早いけれど、たまたま多く水揚げされたのか、魚屋さんの店先でお手頃な金目鯛を見つけた。お頭付きの大きな金目鯛も有ったのだけど、家の鍋には納まらないので、骨付きの半身の方を買って、切り身の大きさに切り分けて煮付けを作った。

 切り身は軽く塩をしてから熱湯を回し掛け、霜降りにする。鍋に酒、砂糖、醤油、味醂を合わせた煮汁を沸かして、切り身と生姜のスライスを入れ、落とし蓋をして煮る。煮汁が煮詰まって切り身に味が染みたら出来上がり。白いご飯と贅沢な煮魚で美味しくいただいた。

 使った鉢は私が大好きで、もう何度も登場している 第5代 清風 与平 のもの。赤い魚の煮付けは何に盛ろうか、と考えた時に力強い呉須の絵付けを選んでしまうのは、私の変わらぬ好みのようだ。と言うのは、以前の回を見返していたら昨年の2月、No.112 の回で同じ 清風 与平 の祥瑞の皿にきんきの煮付けを盛っていたのを見つけた。考える事は変わらないなあと思う。

鉢は、外側にも見込みにも文字や風景、漁をする人の姿が細かく描き込まれている。でも口の部分はぐるりと丸く、白磁の白が残されていて、その白が呉須で描き込まれた鉢の輪郭を際立たせ、中に盛った料理を引き立てる。やっぱり清風 与平 の器は好きだなあと改めて思った。

器 染付 漁翁図鉢  径20cm 高6cm

作 第5代 清風 与平