No.194 お酒
今年の中秋の名月は9月17日だそうだ。もうすぐなのに真夏の暑さが続いていて、秋はまだ遠い。とは言っても、確かに朝夕は少し秋の気配が漂って、虫の声が聞こえたりする。少し身体を労って、温燗のお酒にした。
澄んだ濃紺の空と、明るく輝く月の黄色を思い浮かべるような色使い。この猪口は 初代 川瀬 竹春(1984-1983)のもの。オランダの陶器の写しで、乳白色の土に呉須と黄、そして鉄釉の茶で色が付けられている。
竹春は中国陶器の写しや赤絵、染付、祥瑞などが多く、好きな作家さんで、これまでに何度も登場しているけれど、オランダ写しは我が家にこれひとつ。形や模様が特徴的で西洋を感じさせる訳ではなく、中国や日本の陶器に有っても不思議ではない意匠なのに、西洋を感じさせるのは何故だろう。華奢な質感と色使いのせいかしら、と思ったりする。
器 オランダ写 猪口 径5,8cm 高5cm
作 古余呂技窯 初代 川瀬 竹春