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うつわ道楽

No.204 ホットウィスキー

 冷える夜、ホットウィスキーを作って立ち上る湯気を嗅ぐと、寒さで縮こまっていた喉元が解けるような、温かい香りがする。滅多に作る事はないけれど、時々飲みたくなる。

 このグラスは、ガラスのコップの口周りと外側に銀細工が施されたもの。今は銀が錆びて黒ずんでいるので、いわゆる銀色ではない。銀磨きで綺麗にする事は簡単だし、もしかしたら本来のヨーロッパの食卓では他の銀器と共にピカピカに磨かれて使われるのかもしれない。けれど、単体で楽しむにはこの位落ち着いた銀色も素敵かなあと思う。ガラスだから、熱湯を注ぐのではなく、別の容器で作って熱さが落ち着いてから、ゆっくりグラスに注ぐ。

 随分前にグラスをコレクションしているという方から分けて頂いたもので、作られたメーカーや年代も不明。飾り文字のアルファベットが刻まれていて、製造メーカーなのか、あるいはオーダーした顧客のイニシャルなのかも知れない。繊細だけれど力強い銀細工の葉が巻き付いている。どんな場面で、どんな人が使っていたのかしらと考えたりする。

器 銀細工 タンブラーグラス  径6,2cm 高11,5cm

作 不明