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うつわ道楽

No.241 いさきの刺身

 今が旬のいさき。地元の魚屋では近頃お刺身で出ている。塩焼きにして美味しく、好きな魚だ。大きい魚ではないので、身はさほど厚くないけれど、旬の時にしか出ない刺身は適度に脂がのっていてとても美味しい。胡瓜と大葉、茗荷を刻んで盛り合わせた。

 文を結んだ形を模った皿は、幕末から明治時代に活躍した 幹山 伝七(かんざん でんしち 1821〜1890) のもの。近江の出身だが、文久2年に京都へ行き、後に清水に窯を開く。明治5年頃からこの 幹山 伝七 の名を使っている。西洋の絵具や技法を取り入れた斬新な作品で知られ、宮内省御用達となるなど高い評価を受けた。

この結び文の皿は古染に本家が在り、その写。この器自体は、皿と呼んだ方が良さそうな大きさ、深さだけれど “鉢” と名がつくという事は本家はもっと大きいのかもしれない。

結んだ文の面ごとに絵柄が書き分けられていて、力強いながらも楽しさがある。しっかりした呉須の色も美しい。今や手書きの手紙でさえ少なくなっているけれど、結び文は紙だからこその “折ってたたむ” 造形。それを器に模ってしまう遊び心がすごいと思う。

器 羅漢図 結び文 平鉢  径26,5cmx15cm 高2cm

作 乾山 伝七