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うつわ道楽

No.29 杏のシロップ煮

 梅雨も半ばになると杏が出回る季節。5年くらい前からだろうか杏を見つけるとシロップ煮を作るようになった。ちょうど梅雨の蒸し暑さから梅雨明けし、真夏に向かって身体がバランスを崩す頃、これを食べると元気になる。かなり酸味のある杏だが、よく冷えたシロップ煮をいただくと気分もスッキリ、身体もシャッキリする。杏の柔らかい果肉を崩さないように扱うのは気を使う作業だが、形の崩れたものはそのままジャムにする。残ったシロップは炭酸水で割って飲むと杏の香りがして、これもまた美味しく、夏の楽しみだ。

 さて。杏は何に盛ろうか。ガラスのフルーツ皿や小鉢でも良いけれど、今日は古染めの皿を使った。呉須絵の古染めにフルーツは意外に良く映る。縁が少し立ち上がったこの形は古染めではあまり見ない形だ。この大きさだと、いわゆる なます皿 のように縁が緩やかに持ち上がる形がとても多いのだが、この皿は見込みは水平で、縁は抱えるのではなくむしろ反るように立ち上がっている。

器 古染付皿 径14cm 高2,5cm

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