No.30 ガスパチョ
長く仕事をしていたが、しばらく前に退社。その後アルバイトで4年ほどスペイン料理のデリに勤めた経験がある。スペイン料理で代表的なパエリアやアヒージョなどを売っていた。旬の素材を使ったパエリアや、季節に合わせてメニューも入れ替わる。そこで覚えたのが、スペイン料理の夏の定番、ガスパチョだ。元はアンダルシア地方の発祥で、ガスパチョ(gazpacho)の語源はアラビア語で『びしょびしょしたパン』だと言う。確かにレシピには少量のパンが入る。これが少しのとろみの効果を加えるのだろうか。ガスパチョの初めはスープに浸かりっぱなしのパンをそのまま混ぜてしまった、とか言う、日本の納豆のようなエピソードが有ったりして。と考えると楽しい。
それまでに、そしてその後もガスパチョは度々レストランなどでいただく機会が有ったが、私はこのデリのガスパチョが一番気に入っている。残念ながら、その店はもう閉店してしまったので、それからは夏になると覚えたレシピで自分で作る。販売する訳ではなく、自分でいただくだけなので許して貰えると思う。トマトの他にセロリ、胡瓜、ピーマンなど数種の野菜にワインビネガーやオリーブオイル、香辛料を使って、加熱はしないのでビタミンCもたっぷり。飲むサラダで夏には最適のご馳走だ。トッピングは、細かく刻んだ野菜と最後にオリーブオイルをひと回し。
グラスは、ルネ ラリックのグラスでその名も『NIPPON』。1930年に作られたデザインだそうだ。どの辺りが日本なのかしら、と考えてしまうけれど。
器 ルネ ラリック NIPPONグラス 径7,5cm 高9cm