No.41 鶏の手羽先
かなり虫食いだらけ。日本人が好む、古染め特有のぽってりした少し厚手の作り、四方の縁のきっちりした立ち上がりと平らな面の力強いフォルム。高温で焼かれても大した歪みも無く、四隅の脚に支えられて安定して居る。素地の作りだけ見てもすごい。
これが明末清初 1600年代に中国で作られ、日本に渡り、これまで割れも欠けもせず人の手を渡って来たのか、と感心する。少し沈んだ呉須の色も私好みだ。中央に3人の男性が顔を寄せている。何かのストーリーを絵にしたものか、私には解らない。見込みに嵌め込まれたこの絵の周りは花と、唐草調の葉と茎で埋められている。縁に白く盛り上がった突起が並び、更に表情を豊かにしている。
縁に立ち上がりのある四方は、意外と盛り付けが難しいと感じている。縁のない器以上に盛り付けに高さを作らないと、平坦に並んだ料理は食欲をそそらない。いつもは長皿などに盛ることが多い手羽先を盛ってみた。ひとりで楽しむならこれも良いか。ぱりっと芳ばしく焼けた皮、少しの塩とかぼすが骨回りの鶏肉を甘く引き立てる。焼きたてだからこそ、のご馳走だ。
器 古染め付 四方鉢 径15cm 高4,5cm