No.49 ケークサレ
おしゃれなフランス料理、ケークサレ。手の込んだフランス料理を家で作ることはまずない。が、このパウンドケーキ型で焼くケークサレは思い付くと時々作る。メインの献立に、サラダとフランスパンだと少し寂しいかな、と言うときなどにサイドメニューとして最適だ。
パウンドケーキのように見えるが、お菓子ではないので砂糖は使わない。小麦粉にオリーブオイルで炒めた玉葱やベーコン、ブロッコリー、卵、おろしたチーズなどが入っていて、そのままでワインにぴったりの、フランス風惣菜パンのようなものだ。具は様々、好みで工夫次第と思うが、私はシンプルなこの組み合わせが気に入っている。残ったら、写真のようにサラダと盛り合わせてブランチにする。休日ならグラスワインを添えてカフェ気分も味わえる。
縁に金のラインが入ったこの皿は、Susie Cooper(スージー クーパー)がまだ自らのブランドを持つ前の Gray’s Pottery (A.E.Gray Ltd.)時代の作品だ。彼女は1929年、27歳の誕生日に自らの名を冠する陶器ブランドを立ち上げて独立しているので、それより以前ということになる。以前の回(No. 9, 33 )のものも同じ時代の作品で、モチーフの花や手描きのタッチが近い。しかし、Gray’s Pottery の前2回登場した器や、Susie Cooper ブランドの器はぽったりした暖かみのある肌だが、これは透明感のある、薄い白磁のクリアな質感でよそ行きのように少し気取って見える。
古い器は、絵付けやラインの金が剥がれたり、擦れて薄くなっている事が多いのだが、この皿は金も比較的良く残っているし、皿自体にもナイフなどで付いた傷がほとんどない。綺麗に、大事に使われていたのだろう。金色は、色の釉薬とは違って、金の粉をガラス質に混ぜて焼き付けると言う。金属として柔らかい金は、使って洗う度に擦られて剥がれてしまうのだ。新しい器ならそう簡単に剥がれることはないが、100年近く使われていれば、大事に扱ってもこの位は致し方ないと思う。むしろ、大事に使われてこの状態で残っている事がすごいなあ、と感謝の思いだ。
器 花柄 皿 径 22,5cm 高 1,8cm
作 Susie Cooper (Gray’s Pottery)