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うつわ道楽

No.51 冬至かぼちゃ

 冬至は、北半球では一年の内で昼(太陽の出ている時間帯)が最も短い日だ。最も短いという事は、翌日からは少しずつ長くなるという事。この日を境に太陽の力が再び蘇るという前向きな解釈をするらしい。二十四節気では冬至を境に新しい年に切り替わり運気も上がる、とされているのだそうだ。

この日の食卓にはかぼちゃが上がり、柚子湯に入る。日本に伝わる冬至の過ごし方だ。かぼちゃを食べて栄養を付け、身体を温める柚子湯に入り、無病息災を願いながら寒い冬を乗り切る。生活に根付いた知恵だったのだろう。

かぼちゃの原産はアメリカ大陸だと言う。北も南も両方のアメリカ大陸。広大すぎてよくわからないが、紀元前4000年頃のペルーやメキシコで栽培して食されていた痕跡が見つかったため、その頃の発祥と思われていた。しかし1997年、それよりも数千年早くメソアメリカで栽培化がはじまっていたと思われる発見があり、かぼちゃの歴史は8000年とも言われるらしい。世界史の教科書で覚えた、古代四大文明より更に数千年以前に、一体どんな文明が有ったのだろう?新石器時代と呼ばれる頃のはずだ。昨今、かぼちゃはスウィーツの素材にも使われるくらい素材自体に甘味のある野菜だと私達は認識しているが、その頃のかぼちゃは一体どんな形でどんな味だったのだろう。

冬至のかぼちゃは、地方によって食べ方はまちまち。この通称 “いとこ煮” と呼ばれるかぼちゃと小豆の煮物は、東北と関西に伝わっているもので、他の地方にはかぼちゃ汁やかぼちゃ汁粉、かぼちゃ蕎麦などがあるそうだ。

いとこ煮は一般名称で、煮るのに時間のかかる小豆を先から煮ていて、そこに他の素材を “追い追い”加える事から “甥と甥”の語呂合わせで “いとこ” となったと言われている。かぼちゃと小豆の組み合わせに限った名称ではなく、鶏と卵、鮭といくら、の親子丼と同じようなものだろうか。このいとこ煮、私は冬至に限らず時々作る。初めは、何とも奇妙に思えたが、少し煮崩れたかぼちゃと小豆のマッチングが良く、かぼちゃに小豆の風味やこくが加わり食感と味わいの組み合わせの妙が美味しく、また食べたくなる味だ。

輪花の赤絵の小鉢は、度々登場している川瀬 竹春のもの。少し厚手の白磁で輪花の縁が際立ち、見込みまで続く凹凸の陰影が美しい器だ。

器 赤絵 輪花鉢  径15cm 高5,5cm

作 古余呂技窯 川瀬 竹春

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