No.3
見るたびに思わず頬が緩んでしまう、このずんぐりむっくりの愛らしいフォルム。大量に作られたものには無い、ひとつひとつ手作りされた作品だからこその個体差。同じ作家の赤絵瓢型(ひさごがた)の徳利の中でもひときわくびれが少ない。
この季節、熱燗は最高のご馳走。熱い徳利から、その日の気分で選んだお猪口に注ぐ一連の動作にも楽しさが有る。ただ、前の 時代のお猪口はとても小ぶりで少々物足りなかったりする。 一般的に酒を呑む器を総称して盃(さかずき)と言う。『盃を交わす』の盃。しかし正しくは、特に平らな形のものを盃と呼ぶのだそうだ。お猪口は、小振りでひと口かふた口で飲み干すほどのサイズのもの。それより大きく、口に運んだ時に鼻まで隠れるような大きさのものをぐい呑みと呼ぶのだそうだ。しばらく前、世界的な日本酒ブームが起こったお陰で、和食以外でもビールやワインと並んで日本酒と言うチョイスが加わり、ワイングラスに注がれる光景も見かける。
この徳利は、ふたつの徳利と揃いのお猪口5つの揃いもの。同じく呉須赤江で開いた口に丸みを帯びた小振りのお猪口が組んでいる。が、私は土もので温かみのある徳利には、すっきりした 白磁のお猪口でいただきたい。
器 瓢型 酒器揃 白磁梅紋猪口
作 近藤悠三