No.80 トマトのビーフカレー
暑い季節にはスパイシーなカレーが食べたくなる、と言われるが、我が家では季節を問わずよく作る。ただ、蒸し暑い時はルーのしっかりした重めのカレーより、サラッとしたいわゆるスパイスカレーの方が食欲をそそる感じがする。今回は、すね肉を煮込んだビーフカレーを作った。玉葱と人参、セロリをよく炒めてトマトも入れた。野菜は炒めた後に肉と一緒に煮込んだので、煮崩れてとろみのようになっている。カレーを食べる時、カレーの本場のようにナンなどのパンや、現地の米の場合もあるが、日本の白米でいただく時は、カレーがサラサラでご飯にすっかりしみ込んでしまうより、ご飯の上に載るくらいの方が好きだ。添えた夏野菜は後からトッピングで盛り合わせた。深く加熱した野菜の甘みにトマトの酸味が加わり、家族の好みで辛さは控えめ。優しい味のカレーが出来た。
我が家では、洋食器の割合が和食器に比べると圧倒的に少ない。なのでどんなメニューも和食器に盛ることが多くなる。和食器でカレーをいただく時でもスプーンは金属ではなく、塗り物や当たりの柔らかい素材を使えば食器を傷める心配もない。
今回は古染付の皿を使った。焼きの甘い陶器だと、カレーの色が染みそうで不安だけれど、磁器ならその心配もない。この、唐子が踊っているような絵の皿は余白が多く、全面に絵や文字が有る皿よりも盛った料理が際立ち、映えるので使う頻度が高い。見込みの中央に7つ有る眼跡は、皿を重ねて窯に入れる時に皿同士がくっつかないようにする緩衝材で、焼き上がって外す時に釉薬が一緒に剥がれた跡だ。本来は傷のような物で、勿論無い方が良いのだろうけれど、長く使われて来た今ではこれも皿の模様の一部のように溶け込んでいる。
器 古染め付皿 径19,5cm 高4cm