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うつわ道楽

No.85 ゴーヤチャンプルー

 沖縄料理で知られる代表格はゴーヤチャンプルーだろうか。今年は沖縄返還から50周年の節目に当たるそうだ。その沖縄の野菜も今や栽培自体が本州でされていて普通に八百屋で手に入る。ゴーヤの名が定着しているが、少し前までは苦瓜という名もよく耳にした。その名の通り、ウリ科の植物の実で、熟す前の青い状態で収穫した物がゴーヤだそうだ。沖縄の野菜だけあって暑い時期の食材として理に適っている。ビタミンCとカリウムが豊富で、苦味の成分は胃液の分泌を促し、夏バテにも効果的だとか。いつも思うのだが、その土地に根付いた食文化は身体にも、味覚にも本当によく出来ている。長い時を経て作られてきたのだなあと改めて感心する。

ゴーヤチャンプルーは、ゴーヤと島豆腐(沖縄の水分の少ない硬めの豆腐)、野菜や豚肉などを炒めて卵を加えた料理だ。沖縄の言葉でチャンプルーは炒めるという意味だそうだ。ゴーヤは手に入っても島豆腐は身近に無いので、木綿豆腐を少し長く水を抜いて使った。トッピングには削り鰹。鰹の香りとゴーヤの苦味が程良く、とても美味しく出来た。

私はゴーヤは嫌いではないし、夏には時々食べたくなるのだが、この苦味を好まない家族も居て買う事はあまりない。このゴーヤは、以前の職場で一緒だった後輩からいただいた。彼女のご両親がご実家で家庭菜園をやっていて、そこで収穫したのだそうだ。家庭菜園とは思えない程の出来だ。ゴーヤの他にも玉葱や馬鈴薯も沢山頂戴し、ありがたくいただいている。

この皿は備前焼。親子で人間国宝となった藤原 啓、藤原 雄という備前焼の陶芸家が居るが、その息子の方、雄さん(1932-1996)の作品だ。備前としては明るい色の土を使っていて、豪快で華やかな紅の緋襷(ひだすき)が力強い。素朴だけれど生命力を感じる料理によく似合う。

器 備前火襷大皿 径26cm 高5cm

作 藤原 雄

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