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うつわ道楽

No.94 無花果の胡麻だれ

 無花果は夏が季節と思いがちだが、秋にも旬が有るそうだ。ちょうど今頃も、美味しそうな無花果が八百屋の店先に出ている。以前、無花果の生ハム載せを作って、魯山人の織部釉の皿に盛った(No.40)。調べてみたらちょうど一年前、昨年の10月だった。生ハムを載せるのも美味しいけれど、この胡麻だれをかけた無花果も好きでよく作る。白の練り胡麻を出汁で伸ばして、少しの砂糖と薄口醤油で味を付ける。甘くて柔らかい無花果の果肉に、薄い塩味の胡麻だれが不思議と合う。生ハムを載せてイタリアンに、胡麻だれをかけると和風の献立になる。食卓に一品加えると、ちょっとお洒落なアクセントになる。

片口の萩焼の向付は六客揃いで、第13代 坂田 泥華(さかた でいか 1915〜2010)の作。とても気に入っていて長く使っている。不思議と、何を盛っても良く映る。素朴な萩焼の肌で、窯の火の当たり具合で、ピンク色に発色している所とグレーに沈んだ部分がひとつの器に同居する。片口の小さな口は、後から本体に付けた時の指の跡が残る。手で持って釉薬をかけた時の指跡も。どんな風に持ったのだろう、と、指跡に倣って試してみたりする。色の発色も、釉薬の掛かり方も六つがそれぞれに違っていて、個性が有って楽しめる。

器 萩焼 片口向付 六客組  径15cm 高7,5cm

作 第13代 坂田 泥華

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