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うつわ道楽

No.8

 裏庭の、今が満開の紅白の梅の木の下に、蕗が自生している。毎年育っても蕗としては茎が細く、スジを取って下処理をすると食する部分は割り箸ほどの細さ。だから今の時期、蕗のとうの状態でほとんどを収穫し、食卓で春の恵みを楽しむことにしている。一番の好物はやはり天ぷら。強すぎる苦味も緩和され、揚げたてのサクサクを塩でいただくと、口の中に春の香りが広がる。栽培方法の開発や改良によって、多くの野菜が一年中手に入る時代ではあるが、今でも蕗のとうは季節限定の楽しみだ。

薄衣を纏って淡い緑色に揚がった天ぷらは古染付の皿に盛った。こうして盛ると、3頭の馬が春の野に遊ぶかのようにも見えてくる。古染付は大好きで多く所持しているが、このサイズの皿は元々の数も少ないらしく、我が家にもこれ一枚きりだ。

器 古染付馬文皿 (径17cm)

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