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うつわ道楽

No.112 きんきの煮付け

 魚屋の店頭で小振りで活きの良いきんきを見つけた。煮付けにしたら美味しそうだ、と迷わず買った。地元の魚屋は大きい店が二軒並んでいて、どちらも取り扱う種類も量も多く、新鮮な魚が揃っている。そんな環境でもきんきを見つける機会はそう多くない。

帰って早速煮付けにした。柔らかくて淡白なきんきは、少し強めの味付けが美味しい。肝も後から加えて共に盛り付ける。淡白な魚ではあるけれど、この季節には脂が乗っていて煮汁にも僅かながら脂が浮いた。熱々のご飯とよく合う。濃い色の煮汁に朱いきんき、ほぐすと真っ白の身が美しい。この煮付けは清風与平の祥瑞の皿に盛った。魚は小振りながらこの主張の強い皿に負けない存在感が有る。

濃いが鮮やかな色の呉須で、見込みいっぱいに細かく描き込まれた皿だ。この作者、第5代 清風 与平は以前にも書いたが余白恐怖症かと思うほど隙間なく絵で埋める。このパワーはすごい。図柄は皿いっぱいに描かれた大きな花。それを構成する花弁には、ゆるく捻りが有ってそれぞれの花弁に花や鳥、祥瑞特有の幾何学模様が書き込まれている。とても力強い。縁が立ち上がっているので少し汁のある料理に向いている。見込みは迫力の有る絵で埋め尽くされているが、裏はすっきり、刷毛目の跡が残る呉須一色で塗られている。裏面の中央に高台は無く、釉薬の掛からない白磁の素地が覗いている。

器 祥瑞捻花反鉢 径23x21cm 高4cm

作 第5代 清風 与平

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