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うつわ道楽

No.128 梅雨穴子の天麩羅

 少し小振りながら美味しそうな穴子を魚屋の店先で見つけた。住んでいる地域柄、普段売られているのは東京湾や千葉で獲れた穴子が多いのだけれど、珍しく長崎。小振りな事もあって価格もお手頃だった。穴子は、軽く焼いてから刻んで、醤油で甘塩く炊いて、ちらし寿司に混ぜ込んだり、茶碗蒸しの具にしたりする事も多いのだけれど、今日は天麩羅が食べたくなった。

穴子の旬は6月から8月の夏の間で、梅雨穴子とか夏穴子、と呼ばれるらしい。大抵の魚類は脂が乗る冬の季節や、産卵前を良しとされるけれど、穴子に関しては脂の少ないさっぱりした身が好まれるそうで、この時期が旬。確かに、脂の乗った鰻に対してさっぱりして淡白な穴子、という印象がある。

ししとうと、今の時期八百屋の店先に出回る破竹という灰汁の少ない細い筍を一緒に天麩羅にして盛り合わせた。使ったのは脚のある古染付の皿。皿の見込には湖だろうか、それとも海かもしれない水面に浮かぶ船、遠景には山も見える。まるで見込みに円形のパノラマで描かれたような風景が描かれている。空になった皿を眺めて、この描かれた風景の物語を思い描くのも楽しい。

器 古染付 脚付皿 径16,8cmx11cm 高3,5cm

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