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うつわ道楽

No.129 破竹のきんぴら

 『破竹の勢い』と言う言葉は昔から知っているけれど、この言葉の元となった『破竹』が何なのか、またどんな字を書くのか。まで深く考えた事が無かった。すごく勢いよく、と言った意味あいだろうと漠然と思っていた。先日、地元の八百屋に行ったら店先に見た事のない細い、紫がかった茶色の筍が並んでいて、商品名の札に『破竹』とある。あまり出回っていないのか、初めて見る筍だった。『はちく』と聞けば自然と『破竹の勢い』が連想され、八百屋のお兄さんに聞くと、そうそうその破竹、と言う。調べたら、竹は最初の一節を割るとあとは一気に割れる事から、勢いが激しくてとどめがたいこと。と有る。竹を割ったような性格、と言う言葉も有るが、真っ直ぐで迷いの無い様子がうかがえる。

調理の仕方を尋ねると、柔らかくて灰汁が少なく、いわゆる孟宗竹の筍のように下茹でなどの処理は不必要、そのまま料理に使えると言う。〝やってみたがり〟の私は早速買って帰った。その日は穂先に近い部分を天麩羅にし、(前回No.128の回で掲載)残りの下の部位できんぴらを作った。聞いた通り、灰汁も繊維も無くて柔らかい。少し唐辛子を効かせてピリ辛の美味しいきんぴらになった。

 この青磁の小鉢は現代陶芸作家、古川 利男さんの作品。昭和24年生まれ、京都 清水焼の陶芸家で、利宋窯という窯で作陶、氷裂青磁を得意とする。我が家にひとつだけ在る古川氏のこの小鉢は、食卓に載るたびにその氷裂の幾何学模様と色の美しさで食卓にメリハリを与えてくれる。

器 氷裂青磁 小鉢  径10cm 高7cm

作 利宗窯 古川 利男

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