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うつわ道楽

No.131 冷やし茶碗蒸し

 熱々の茶碗蒸しはとても美味しいけれど、今頃の急な蒸し暑さだと、冷たいメニューが欲しくなる。卵豆腐をイメージして、冷たい茶碗蒸しを作った。プルプルの食感を生かして具材は入れず、トッピングは少し贅沢に生雲丹を飾り、少し濃いめの味付けの餡を掛けている。

この『のぞき』は荒川 豊蔵の作。釉薬を掛けた時の指の跡、流れた釉薬の垂れも有って、表情が豊かな器だ。鉄釉で素朴な線描きの絵柄が四面に、思い思いに描かれているのだが、その何気なさが様になるのはとても難しい。小さい器でこれだけの存在感を感じさせてくれるのは、さすがに作り手の貫禄を感じる。

のぞき、とは径が小さくて深い形の向付けで、料理を覗き見るようになる事から来た名称だそうだ。元は、お造りを付ける煎り酒やお酢を入れたものだったと言う説もある。少しの量のお料理を、名前の通り覗き見るように盛り付けると、お料理屋さんのようにオシャレで素敵だけれど、私は今回のように小振りな茶碗蒸しや、ぐい呑み、湯呑みにも使って楽しんでいる。

器 鉄釉 向付け  径7cm 高8cm

作 荒川 豊蔵

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