No.18 柏餅
肉厚で、ゆるやかな曲線の輪郭がユーモラスな柏の葉が、大きな手のひらのように中の餅を包む柏餅。端午の節句の和菓子に使われる柏は、新芽が育つまで古い葉が落ちない『葉守りの神』が宿る良い木とされ、家系が途切れないという縁起を担いだものらしい。この餅は、徳川9代将軍の家重から次の家治の頃、江戸で生まれたとされる。同じく端午の節句に食されるちまきは、中国が起源で歴史が古く、日本には奈良時代から平安の頃伝わったのだそうだ。今は5月5日の節句には柏餅が主流になっているが、元々は柏餅は関東、ちまきは主に関西で食されていたとか。この時期、敷地の広いお宅では、庭に棒を立てて大きな鯉のぼりが掲げれていたものだったが、近頃の住宅事情ではその光景も見かけなくなったのは少し寂しい。
この漆の皿は仕舞い放しだったのを思い出して、久しぶりに使ってみた。透けて見える木目が美しい。松の生地に透き漆をかけたもので、皿の縁にぐるりと一周、銀をつけている。木のものに金属を組み合わせるのは難しそうだが、縁に銀を盛った事で輪郭が際立ち、漆の柔らかい印象を引き締めている。
器 銀覆輪 ため塗り菓子皿 (径14cm)
作 不明