カテゴリー
Uncategorized

うつわ道楽

No.297 海老とアボカド (長州 萩 切子②)

 前回の長州、萩ガラスの切子皿と同じ箱に組まれたもう一つの皿。色も質も大きさも同じなので、切子の細工を変えて最初から柄違いで組ませた物だと思われる。この皿は全体に角が無く、曲線で構成されていて柔らかい印象を受ける。

底の麻の葉の模様は同じだけれど、底から側面に向かってなだらかに立ち上がる。側面にはもうひとつのと似たダイヤ柄のような突起した模様があるが、縁の模様に合わせて横に大きく、菱形。その頂点の尖った所は切り取られていて、菱形が二重に重なったように見える。

 これまでに何度も並べて眺めて、いつもどっちがより好きかしら、と考えてみたけれど未だにどちらとも決め難く、どちらも魅力的だ。もちろん、そんな甲乙をつける必要はないのだけれど、つい考えてみたくなる。使う時ならこの料理ならこっち、とより似合う方をすぐに決められる。5人より多いお客様に使った事はないから、いつもどちらかひとつの柄か、或いは両方使って別の料理を盛って来た。この皿が作られた頃、きっとかなり位の高い方でないとこんな器を手にする事は出来なかったはずだ。きっと髷をゆった武士や奥方、位の高いお坊さんかもしれない。長州だから維新に関わった人々もいたのかしら、などと妄想が広がる。

その皿に、当時は知りもしなかったであろうアボカドを、茹でた海老と盛り合わせた。マヨネーズとケチャップを和えたオーロラソースを下に添えた。その頃だったら何を盛っていたのだろう。鱧と海老、白ワインでも合うけれど、冷えた日本酒でその頃の日本を妄想しつつ、味わった。

器 ギヤマン 麻形小皿 拾枚 径9cm 高2,6cm

作 不明 (長州藩)