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うつわ道楽

No.294 沖縄そば

 以前、沖縄を訪れた時に食べたそばが恋しくなる時がある。出汁の効いた汁の色は薄く、塩と少しの醤油で味付けているのだろう。これに中華麺だったらさっぱり味のラーメンだけれど、沖縄のそばの麺は太麺。細いうどんと中華麺の間くらいの太さがある。弾力はあまりなく、少しぼそっとした食感だ。そばと呼ばれていても原料は小麦粉とかんすいなので、中華麺と同じ。違いは、麺を作った後に表面に油をまぶして自然冷却することらしい。それが、独特の食感を生み出すのだそうだ。

生麺とスープがセットになった市販の沖縄そばを見つけて買ってきた。せっかくだから、豚のばら肉を煮て、自己流沖縄そばの完成。蒲鉾と葱もトッピングして、本当はここで “コーレーグース“ も欲しいところだけれど、無いから仕方ない。“コーレーグース“ は、泡盛に島唐辛子を漬け込んだ辛味の調味料。蕎麦に山葵、うどんに七味唐辛子、のように沖縄そばにはコーレーグース。仕方がないので、手持ちの島唐辛子の一味を使った。

 名工と呼ばれる 真葛 長造 (本名 宮川 麟太郎 1797〜1860)の鉢に沖縄そば、はお怒りを買うかもしれない。けれど力強い素朴さの有るこの器に盛ってみたくなった。長造は京都東山の真葛原に窯を開き、真葛焼の礎を築を築いた江戸時代末期に活躍した陶工で、初代 宮川 香山は息子となる。

私がこれまで知る 長造 は、巧みな作りと繊細な絵の器や香合が多かったので、この鉢を見た時は意外な印象を持った。厚く掛かった藁灰釉のせいで厚手に見えるが、本体の作りは見た目より薄い。2箇所に切り込みの有る、大きくて力強い高台が重味を感じさせるのだろうか。見込みの滑らかさとは対照的に外側に厚く掛かかる釉薬に豪快な強さを感じる。

器 藁灰釉 鉢  径18cm 高10cm

作 真葛窯 真葛 長造