No.298 万願寺唐辛子

グリルで焼くと柔らかくとろっとした食感で、甘味が増す。ビタミンCやE、βカロテンなど栄養価も高い野菜だ。鰹節で旨味を加えてお醤油を少し垂らしていただく。とてもシンプルで万能な和食のレシピだ。根菜以外の大抵の野菜や、大豆の加工食品も美味しくなる。
近頃は前にも増して食材が容易く手に入るようになった。関東に居ながら、この万願寺唐辛子や鱧でさえ季節になればいつでも買える。便利に宅配してくれる業態もあるけれど、店にはその季節ならではの食材との出会いが有って楽しい。最低限、必要な物は考えているけれど、その日に良い食材との出会いが有れば迷わず手が伸びる。きっと私は根っからの食いしん坊なのだと思う。
素焼きの京野菜、万願寺唐辛子は、京都の 清水 六兵衛 (第6代 1901〜1980) の皿に盛った。乾山写の小さい長皿は5枚組で絵替り。その中で桔梗の模様を選んだ。平皿の、少し高くなった縁は鉄釉で縁取られ、夏から秋にかけて咲く美しい紫色の桔梗が覗いている。縁の厚く掛かった白の釉薬が一部爆ぜているけれど、今日はこれを使いたい。皿の裏は横にヘラで削っていて、そのせいか表から見ると皿の底が少し盛り上がっている。温かみのある皿だ。
この 6代 六兵衛 は、個人の作陶の他に『清六陶苑』の名で六兵衛の窯物の販売を始めた。作家物よりも手に取りやすい価格で販売し、六兵衛の名と作風、家業を大きく広めた人でもある。

器 絵替長角小皿 五枚 径14×5,8cm 高1,8cm
作 第6代 清水 六兵衛