No.291 茄子の揚げ浸し

小振りの茄子を見つけて、素揚げにした。これをシンプルに生姜醤油でいただくか、出汁醤油を掛けて揚げ浸しで熱々のまま、あるいはよく冷やして食べるか。夏の我が家の定番メニューだ。今日はどちらにしようかと考えたけれど、ちょうど今が旬の万願寺唐辛子もあるので一緒に煮浸しにする事にした。皮目に細かく隠し包丁を入れた茄子、小さく穴を開けて空気の逃げ道を作った唐辛子と生麩も素揚げして、盛り合わせた。これも食べる時におろし生姜を加えると風味が加わって更に良い。
万願寺唐辛子は、関東でもよく見かけるようになった。そのままグリルで焼いて食べることが多いけれど、素揚げにすると色も鮮やかだし、甘味も増して感じる。今回は漬ける出汁醤油に少し大根おろしを加えたので、丸ごとの茄子や唐辛子にも出汁が絡みやすく、美味しくいただいた。
器は萩焼で、大きめな平鉢の向附を使った。桃色の地肌に白く御本が浮かぶ。萩焼の第12代 坂 高麗左衛門 (本名達雄1949〜2004)のもの。先代の11代 高麗左衛門 が亡くなった翌年の1982年に先代の息女と結婚し、更に先代の妻で、結婚した娘の母である幸子と養子縁組をし、萩藩御用窯の坂窯を継いだ。達雄は東京生まれで、東京芸術大学の日本画を学んだ後に陶芸の道に進む事になったらしい。坂窯伝統の井戸形茶碗をはじめ、日本画の要素を活かして花などを描いた萩焼も残している。この向附は、萩の土と窯の火が作り出した萩焼らしい、華やかな器だ。

器 萩焼 輪花組鉢 径17cm 高4,5cm
作 第十二代 坂 高麗左衛門